レーシングサービスワタナベ

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MINIMAGAZINE

「ホイールサイズとドライビングフィール」

P25~29

協力

(株)レーシングサービスワタナベ 

ダンロップ 

東京化学芸術専門学校

テスタ-:川上 康 / ゲスト:高谷 克実

検体

標準 検体1 検体2 検体3 検体4
ホイール   メーカー SPEED LINE RSワタナベ RSワタナベ RSワタナベ RSワタナベ
ホイール             材質 AL AL AL AL Mg
ホイール             タイプ 不明 A A A
ホイール     サイズ 13-6.0  13-60 12-6.0 12-5.5 12-6.0
ホイール    OFFSET 不明  +8 +5.5 +12 +5.5
ホイール              重量 不明 5.5kg 4.5kg 4.2kg 3.2kg
ホイール&タイヤ   重量 13kg 10.5Kg 9.25Kg 9kg 7.95kg
           
タイヤ  メーカー DUNLOP DUNLOP DUNLOP DUNLOP DUNLOP
タイヤ SP SPORTS LE MANS  SP SPORTS SP SPORTS SP SPORTS

タイプ

2000 LM701 Bb490 Bb490 Bb490
タイヤ  サイズ 175/55 165/60 165/60 165/60 165/60

標準仕様のフィーリングチェック

標準

 17555という極太タイヤは、細かな路面状況の変化を忠実に拾いミニ特有の強い突 き上げが装ってくる。程度の良い舗装 蕗面の走行時には何も感じない足回りではあるが、 多少でも路面が荒れていると必要以上に路面の変化を車に伝える。1本 あたり13Kgという 重量も手伝ってドタバタ感がつきまとい、タイヤノイズも盛大であった。 この組み合わせでのメリットは ブレーキングフォースだけのように感じた。まして、純 正装着でありながらリアにホイールスペーサーを装着しているのは 如何なものか・・・。 ミニは据え切り時の操舵カが大さいが、この組み合わせでは、それがさらに助長され1980年代の日 産車(特に6気筒エンジン搭載車)を紡彿とさせるもので、構えて切る姿勢が要求される。

検体1

 標準仕様と同じ13インチからテストを開始する。標準仕様に比較してタイヤ1本当たり2.5Kg1台では10Kgの軽量化を実現した組み合わせ。バネ重量のため、実際の重量差より大きな成果が期待される。さらにタイヤのトレッドパターンが、標準のブロックパターンからリブパターンとなり、サイドウォールにもかなりの硬度の差(標準は硬い)がある。また、扁平率の違いからタイヤ径が20mm前後大きくなっている。加えて、ホイールのオフセット量が標準ホイールより少ないので、トレッドが拡大している。走行開始直後に変化が感じられた。ミニがまるで異なつた性格の車へ変身したかのような大人しい走りを見せている。路面の細かな変化にもトラックなど重量車のワダチにも捉われることもなく、タイヤノイズも極めて小さくミニらしくない大人しい走行フィールが得られている。ホイールの軽量化によってサスペンションの路面に対する追従性が向上 したのと、タイヤ径が大きくなったために路面の細かい凹凸を拾わなくなった結果だろう。 乗り心地ははるかに向上したもののプレーキング時には一種独特な挙動が感じられた。 タイヤの柔らかさからか、沈んだ車体が最後に超き上がる感触が何ともギコチナク体に伝 わってくる。 期待していたステアリングの重さはさして変化はなかった。 ホイールのオフセット量が減ったため、重量軽減のメリットと相殺されたのかも知れな い(一般的にオフセット量が少なくなるとハンドル操作は重くなる)。しかし、標準仕様 で準え切り時に必要とした強烈な操舵カは不要だった。 標準装着のタイヤが必要以上にハードな性格を持つのに村して、LM701はかなり穏やかな設定のタイヤであることが分かる。

検体2

 ホイールサイズを12インチに変更する。現代ミニの標準サイズである。クラッチをミートした瞬間から素直な発進が得られ、スピードが上がってからの操舵に対するレスボンスも非常に素直な感じで好感が持てる。車の動きがドライバーと一体化し、安心してミニを走らせることのできる組み合わせで、どんな路面状況にも適した組み合わせといえるだろう。据え切り時にも13インチ標準ホイールのような重さや粘りは一切感じられない。ブロックパターンでありながらロードノイズも低く抑えられて静かなものだった。試乗後の感想は、「思いのほか素直!ミニには一番適したサイズの組み合わせ! やはりミニには12インチ」と感じさせ、この時点ではベストチョイスであった。

検体3

 検体2のホイール幅を05インチ狭くした組み合わせ。重量差も4本で約1Kg。タイヤサイズは全く同一であるが、試乗開姶直後から思わぬ差異が感じられた。具体的には、発信時はハンドリングが妙にふやけた感じがするが、中速域からはステアリングレスボンスが向上するというようなアンバランスな感覚。トルクステアーが発生するような交差点からの右左折発進時にも6Jホイールより重く感じるステアリングフィール、低速時でも不安定さを感じるブレーキフィールなど、6Jセットに比べると不安感が伴う。ホイールサイズ的には、片側05インチ左右で1インチ(約254mm)だが、オフセット量の関係でトレッドは約30mmも狭くなっている。この差が不安感を生み出している原因だろ。

検体4(Mg)

 ホイールサイズ・装着タイヤともに検体2とまつたく同じ。違いはホイール材質による重量差(約5Kg)だけ。試乗コースに戻るためにタイヤ/ホイールの組み替え場所からの低速移動でその実力の片鱗を見せつけられた。2Kgの重量差ではあるが体で感じる運転操作に反応する車の動きは恐ろしく軽く感じられる。そして、今回の試乗コースのどの場面でも圧倒的に軽さのメリットを感じる結果となった。据え切りから発進、スラローム、ブレーキング、凸凹路面でのマナ-、加滅速時のフィール、坂道発進、スピンターンなど何をやっても運転操作に忠実に反応する車へ変身していた。ミニ特有の突き上げ感も大幅に減少している。バネ下垂量の軽減が操縦性を含めるすべての面に寄与するとは聞いていたが、実際これほどの違いがあるとは想像もしていなかった。

今回のテストで、最も新鮮に軽いことのメリットを肌で感じた仕様であり、ミニのような軽量車にとって、バネ下重量を軽減することがどれほど大切であるかを身をもって体験できた。この感じをメカニカルチユーニングで再現するには、かなりの出費を必要とするであろう。ちなみにRSワタナベの6J×12インチホイールのアルミとマグネシウムの価格差は1本あたり6000円でしかない。たぶん燃費も向上するだろうし、駆動系の負担も軽くなるだろうから、この価格差は1年足らずで消却できるだろう。逆に6000円×4本=24000円でできるチューニングなんて存在しないのではないだろうか。

総括

 すべての試乗を終えて高谷先生の感想をまとめると次のようになる。バネ下垂量が軽いということのメリットをここまで実感できるとは!想像をはるかに超えた結果であった。世の中はホイールのインチアップが大流行だが、大径ホイールは同時に重いホイールであることを忘れていないか? 疑問の残る結果となった。アルミホイールはファッション性を優先させることが多いが、この差を体感すると偉大なる機能部品と考え直さざるを得ない。同じことがタイヤ選びにもいえると思う。現代のハイグリップタイヤの性能は、ミニのサスペンション性能をはるかに上回っている。インチアップした重いホイールと極太のハイグリップタイヤの組み合わせは、チユーニングではなく改悪セッティングとなる危険性もある。とくにミニのようなアンダーパワーの軽量車では、重い足は逆のチユーニング効果を招いてしまい、ミニが元気を出すどころか、鈍重なミニを作り出してしまうこと事になりかねない。スポーツパッケージと称する標準のタイヤ/ホイールには何のメリットも感じられなかった。見た目のハデさで商売が成立し易い環境も分からないではないが、ミニをミニらしく走らせることとは逆行する仕様ではなかろうか?足回りの軽量化がもたらす効果の絶大さもロでは幾ら言っても伝えにくい内容ではあるが、今回のテストでは「日から鱗…」の状態であった。すべてのミニユーザーヘエンジンのパワーアップの前に足回りの軽量化を訴えたい。高谷先生は学生たちとタツグスシリーズにプライベート参加しているが、ホイールのオフセット量や重量にはそれほど気を遣っていなかったそうだ。現在のレギユレーションではマグホイールの使用が認められていないので、レースで使うことはできないが、もしマグホイールが使えれば、ツクバ名物の左ハブベアリングの負担も軽減できるのではないかと准測される。最後に、テストグループから本日の教訓。足腰を強く軽く仕上げてから心臓たるエンジンの強化を進めましょう。何と言っても足腰の強化軽量化では環境を犯すことはありませんから…。

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